ー 人と人とが繋がる温もり
2020年から始まったコロナ禍以降、私たちを取り巻く環境や考え方は一変してしまったように感じます。特に、吹奏楽は「息」を使う音楽表現ですから、活動休止やメンバー減少など、多大な影響を受けました。加えて、このような世情を反映するかのように、やや内向きな発想になったり、思いやる心を歪めてしまったり、自己の世界に留まったりする傾向を感じた方もいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、私たちには、忘れずに守らなければならないことがあります。それは「人と人とが繋がる温もり」です。
ー さらなる感動を追い求めて
私はこれまで、全国各地の吹奏楽団体で数多くの指揮や指導を重ねてきました。中でも、2022年3月までは、浜松交響吹奏楽団の音楽監督兼常任指揮者として、実に40年以上もの時を過ごしました。その全てにおいて、「温度の合う人たちとの出会い」があったからこそ「感動や幸せ」があることを実感しました。また、ひとりだけでは非力でも、仲間と協力することで「大きな力」になり、大きな力のためには「ひとりの力も必要」ということを学びました。吹奏楽の醍醐味とは、そのようなものだと私は思っています。
ー 吹奏楽の未来を築くために
浜松交響吹奏楽団での役目を終えた後、これからの吹奏楽の未来を築くために「私には何ができるのか? 何に挑戦できるのか?」を思案してきました。その結果、「心の温もりを感じ合えるチーム」を作り、未来に残したいと考えました。その決意を忘れないために、フランス語の「chaleur」(シャルール)=「温もり」という単語をセレクトし、ロゴマークには「力強く無限に広がる可能性」を込めて、2022年4月、【浜松シャルールウインドシンフォニー】を創立しました。このチームの温もりが、やがて熱意となり、聴衆のみなさまに希望や勇気を伝えられるように成長していくことを心から願っています。
浜松シャルールウインドシンフォニー・代表 浅田 享